★　重電部品の「リム」に硬質クロムめっきを採用　　～　耐摩耗性・密着性を両立　～

【施工事例】重電部品「リム」への硬質クロムめっき加工

めっき種　： 硬質クロムめっき
性能　　　： 耐摩耗性向上
業種　　　： 重電
製品　　　： リム

重電機器のリム部品において、摩耗や劣化を防ぐために「硬質クロムめっき」を施工しました。
高い硬度と優れた耐摩耗性を発揮し、長期的な使用でも寸法精度を維持。過酷な環境下でも安定した性能を実現しました。



■ 硬質クロムめっきとは？
硬質クロムめっき（ハードクロムめっき、工業用クロムめっき、HCr、ICr）は、工業分野で最も広く使用される表面処理の一つです。
膜厚が薄い場合には「フラッシュメッキ」や「ミクロンメッキ」とも呼ばれます。
非常に硬く、摩擦係数が小さいため耐摩耗性・耐久性に優れた被膜が得られます。
（規格：工業用クロムめっき JIS H8615）



■ 硬質クロムめっきの原理
クロムめっき浴は、無水クロム酸（CrO₃）を主成分とし、微量の硫酸を加えたサージェント浴が一般的です。
これは90年以上前にSargent氏が開発した組成で、現在でも広く利用されています。
標準比率は「無水クロム酸：硫酸＝100：1（重量比）」です。



■ 硬質クロムめっきの特徴
① 高硬度（750～1000HV）
電気めっきの中でも最高クラスの硬度を誇ります。
温度55℃、電流密度15～80A/d㎡の条件で約900HVの安定した硬度を得られます。

② 優れた耐摩耗性
高硬度被膜により、摺動部品や金型など摩擦が発生する部位で抜群の耐久性を発揮します。

③ 低摩擦係数
金属同士の摩擦を軽減し、焼き付きや摩耗を防止します。

④ 耐食性
10μm以上の厚さがあれば、大気中で良好な耐食性を維持。
ただし、塩酸・フッ酸・リン酸などには注意が必要です。

⑤ 密着性
金属同士の合金化により強固な密着性を実現。剥がれにくく、信頼性の高い皮膜です。

⑥ 肉盛性
寸法修正や修理目的で最大1mm厚のめっき処理も可能です。

⑦ 非磁性
硬質クロムめっきは非磁性であり、精密部品にも適しています。

⑧ 耐熱性
200〜400℃で徐々に硬度が低下し、400℃以上で急減しますが、一般的な使用温度範囲では問題ありません。

⑨ 潤滑性・離型性
摩擦係数が低く、金型など離型性を必要とする用途にも適用されます。

⑩ 水素脆性とその除去（ベーキング処理）
めっき後4時間以内に190〜200℃で2時間以上の熱処理を行い、水素を放出することで脆化を防止します。


■　まとめ
硬質クロムめっきは、「高硬度・耐摩耗・耐食・高精度」を求める製品に最適な処理方法です。
弊社では豊富な施工実績をもとに、お客様の用途・材質に合わせた最適なめっき条件をご提案いたします。



■　対応可能なめっき処理
①　硬質クロムメッキ
②　無電解ニッケルメッキ
③　銅メッキ
④　銀メッキ
⑤　半光沢ニッケルメッキ
⑥　錫メッキ
⑦　オーバーレイメッキ
⑧　鉛メッキ



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