★　めっきの密着不良とは？　～ 剥離・膨れ・クラックの原因と対策～

■　めっきの密着不良とは？ 剥離・膨れ・クラックの原因と対策
めっき（メッキ）工程では、母材とめっき層の密着性が製品品質を左右します。
密着不良が起きると、めっきが剥がれたり膨れたりして、外観不良や機能低下につながります。

主な密着不良の種類は、以下の3つです。

⓵　剥離（はくり）
めっき層が母材から剥がれる

②　膨れ（ふくれ）
めっき層が浮き上がる

③　クラック
めっき層にひび割れが生じる

ここでは、それぞれの原因と対策、改善事例を紹介します。



① 剥離（はがれ）

■　現象
硬質クロムめっき後、使用中にめっき層が母材から剥がれる現象。

■　原因
⓵　前処理（脱脂・酸洗）が不十分である
②　素材表面に汚れや酸化皮膜が残っている
③　めっき条件（電流密度・温度）が不適切

■　対策
⓵　前処理工程（脱脂・酸洗）を見直し、洗浄を徹底する
②　電流密度や温度など、めっき条件を最適化する
③　素材とめっきの相性（材質適合性）を確認する

■　改善事例
前処理工程を再評価し、めっき条件を最適化した結果、剥離の発生を大幅に低減。



② 膨れ（ふくれ）
■　現象
めっき層が部分的に膨れ上がり、内部に空気や液体が入り込む現象。

■　原因
⓵　素材表面の汚れが除去されていない
②　前処理が不十分である
③　めっき後に急激な温度変化が起こる

■　対策
⓵　素材表面の徹底的な清掃と前処理強化
②　めっき後の徐冷処理（ゆるやかな冷却）を実施
③　工程内の温度変化を管理し、膨れの発生を抑制

■　改善事例
前処理工程と冷却方法を見直すことで、膨れの発生を防止。



③ クラック（ひび割れ）
■　現象
めっき層に微細なひび割れ（クラック）が発生する現象。

■　原因
⓵　めっき層が厚すぎる、または内部応力が高い
②　めっき液の管理不良
③　めっき後の急激な乾燥や熱応力

■　対策
⓵　適正な膜厚を設定する
②　めっき液の温度・電流密度を安定管理する
③　めっき後の乾燥・加熱条件を緩やかに調整する

■　改善事例
膜厚管理と浴温管理の徹底により、クラックの発生を抑制。




★　まとめ
密着不良は、前処理・液管理・温度管理の3つが大きく関係します。
硬質クロムめっきは高い性能を発揮する一方で、これらの条件管理が不十分だと不具合が生じやすくなります。

品質を安定させるためには、

⓵　前処理工程の標準化
②　めっき条件の定期確認
③　事例に基づく改善の積み重ね

が重要です。



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