建設機械に取り付けられる照明ブラケットは、常に振動や衝撃にさらされるため、高い耐久性が求められる部品です。今回は、板厚を変更し、より高い強度と安定性を実現した照明ブラケットの加工事例を紹介します。大きなR曲げ加工を採用し、意匠性と機能性を両立させた技術的工夫が特徴です。

【製品概要】
・製品名：建設機械の照明ブラケット
・素材：鉄（スチール）
・板厚：6.0mm
・業界：特殊車両・建設機械
・加工方法：曲げ加工
・寸法：450×200×150mm

この照明ブラケットは、建設機械の外装部に取り付けられ、作業時の視認性を確保するために照明器具を支える役割を持ちます。取り付け環境は振動・衝撃・温度変化などの影響を受けやすく、素材や形状設計に高い信頼性が求められます。

【板厚変更による耐久性向上】
従来は板厚4.5mmの鉄（スチール）で製作していましたが、使用中に微細な亀裂が発生することがあり、耐久性に課題がありました。これを受け、板厚を6.0mmに変更し、曲げ部および取り付け部の強度を大幅に向上させました。

板厚の変更により、以下のような効果を得ています。
・振動による金属疲労の抑制
・取付ボルト周辺の亀裂防止
・長期使用による変形・たわみの低減

これにより、長期間使用しても照明の位置ずれや脱落が起こりにくい構造を実現しました。

【大きなR曲げ加工への対応】
お客様からの要望により、できる限り大きなRでの曲げ加工（R8）を行っています。曲げ位置が近接しており、通常の曲げ加工では干渉や角の潰れが発生しやすい構造でした。

そのため、専用の金型とベンダー機を使用し、曲げ順序を最適化。曲げ前の板取り段階からR形状を考慮し、材料の伸びや戻りを補正しています。

・R曲げ加工のための金型形状を独自設計
・曲げ順序を制御し、変形を防止
・材料の伸び率に応じた角度補正を実施

これにより、美しいカーブ形状と高い寸法精度を両立し、見た目にも機能的にも優れた仕上がりを実現しています。

【加工時の課題と対策】
曲げ加工時には、板厚が増すことで反力が強くなり、角度出しが難しくなります。また、曲げ位置が近い場合、ベンダー機の金型干渉や材料のねじれが発生しやすいという課題があります。

これらに対して、以下のような工夫を行っています。
・加工中のねじれを抑制する治具の設計
・ベンダー機の加圧制御による応力分散
・角度センサーを用いたリアルタイム補正

これにより、複数箇所の曲げ加工でも角度誤差±0.5°以内を達成しています。

【建設機械分野での応用】
本製品のような照明ブラケットは、建設機械や特殊車両だけでなく、農業機械や搬送装置など、振動や衝撃を伴うあらゆる現場で使用されています。耐久性の向上と安定性の確保は、安全性とメンテナンス性の両立につながります。

特に、溶接や取り付け時に過度な応力がかからないよう、形状設計から加工条件まで一体的に検討することが重要です。これにより、機能を維持しながら軽量化・コストダウンも実現できます。

【まとめ】
今回紹介した照明ブラケットは、板厚の変更とR曲げ加工を組み合わせることで、耐久性と美観を両立させた事例です。振動や衝撃の多い環境でも長期間安定して使用できる構造となっています。複雑な形状や厚板の曲げ加工にも対応しており、設計段階から最適な加工方法を提案できます。

【お問い合わせ先】
株式会社岩本鉄工所
石川県小松市吉竹町タ33番地
TEL：0761-22-1486
FAX：0761-21-7701
URL：https://www.tk-iwa.jp/
溶接板金加工.com：https://yousetsubankinkakou.com/