【 業界用語解説 】　ザグリとは　キリとは　それぞれの違いも含めて解説します

機械加工や製造現場では、「ザグリ」と「キリ」という2つの加工方法が使われることが多いですが、それぞれの違いを明確に理解しているでしょうか。
両者は似ている部分もありますが、用途や目的に大きな違いがあります。
本記事では、ザグリとキリの違いについて、加工方法や使われる場面を比較しながら解説します。


▼△ ザグリとは？

「ザグリ」は、主にボルトやナットの頭がぴったりと埋め込まれるように、穴の一部を広げて加工する方法です。
目的は、ねじやボルトが表面に飛び出さないようにすることです。
また、ザグリ加工は「カウンターボア」や「カウンタードリル」とも呼ばれることがあります。

・主な用途
ボルトやナットの埋め込み
平らな面を必要とする部品や製品
機械部品や家具のデザイン性向上と安全性確保

▼△ キリとは？

一方、「キリ」は、単純に材料に穴を開ける作業を指します。
ドリルやボール盤を使って、穴を垂直に開ける加工法で、ザグリのように部分的に広げることはせず、均一な円柱状の穴を作ります。
主に、ボルトやねじを通すための準備として行われる加工です。

・主な用途
ボルトやねじの通し穴
板金や木材などに穴を開ける
機械部品の組み立て前の下準備

▼△ ザグリとキリの違い

・加工目的
ザグリ：ボルトやナットの頭が埋まるように、穴の上部を広げて加工する。
キリ：材料に垂直な穴を開けるだけのシンプルな加工。

・加工形状
ザグリ：穴の一部が広げられて、段付きの形状を作る。
キリ：一貫した円筒形の穴を開ける。

・使われるシーン
ザグリ：ボルトやねじが表面に出ないようにする場面。美観や安全性を重視する場所。
キリ：単純に穴を必要とする場面。ボルトやねじの通し穴や、パーツ同士の接続に使われる。

・仕上がりの違い
ザグリ：平らな表面に仕上げるため、製品が見た目や機能的に美しくなります。
キリ：開けた穴はそのまま使用するため、特別な仕上げが必要ないシンプルな状態。

▼△ ザグリとキリの併用例

実際の加工現場では、ザグリとキリを組み合わせて使うことがよくあります。
まず「キリ」で穴を開け、その後に「ザグリ」で穴の上部を広げてボルトやナットの頭を埋め込むといった流れです。
これにより、機能性を確保しつつ、見た目も美しい製品を作ることができます。

今回はザグリとキリについて解説しました。
機械加工では主にエンドミルを使用し加工することが一般的です。が、加工業者によってはザグリ専用工具のザグドリルを用いることもあります。
ザグリドリルは穴あけとザグリ加工を同時に行え効率的ですが、加工寸法の柔軟性に欠けるという特徴があります。

★今回はザグリについて解説しました。
本当に機械加工は奥が深くて、同じ穴をあけるにもいろんな種類がありますよね。
それに機械の回転速度や、材質など様々な要因が掛け合わさることで、幾通りでも加工方法を探すことができます。楽しいですね。
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