---
加工現場で「図面通りの寸法が出ない」「試作時と量産時で仕上がりが変わる」「段取り替え後に誤差が発生する」といった問題は少なくありません。これらの多くは、機械の性能や工具だけでなく、「治具設計」と「加工段取り」の最適化が不十分であることに起因しています。特に精密部品や重量物の加工では、わずかな固定ズレやクランプ力の偏りが寸法誤差や歪みを生じさせる要因となります。本記事では、精度を左右する治具設計と段取りの基本を技術的に解説し、日野精機が実践する改善手法を紹介します。
【治具設計の役割と基本構造】
治具とは、加工中にワーク(加工物)を正確な位置に保持し、切削中の振動や変形を防ぐための専用固定具です。精密加工においては、治具設計が加工精度・再現性・段取り効率を決定づける重要な要素になります。設計の基本は「正確に固定し、自由度を制御すること」です。
治具設計では、次の三つの視点が欠かせません。
1. ワーク形状とクランプ方向の整合性
2. 加工工程中の切削力と反力のバランス
3. 工具の干渉を避けつつ、剛性を確保する配置
例えば、長尺物や複雑形状部品では、固定点が少ないと振動や歪みが発生しやすく、固定点が多すぎると熱膨張の逃げがなくなり、寸法誤差の原因になります。このように、治具は“剛性を高めつつ、逃がしを設ける”という相反する要求を両立させる設計思想が必要です。
【CAD/CAMを活用した治具設計の最適化】
近年は、CAD/CAM技術の進化により、治具設計もデジタル上で検証できるようになりました。日野精機では、CADで部品形状を三次元モデリングし、CAMを使って加工工程をシミュレーションしています。これにより、工具経路と治具形状の干渉を事前に確認し、加工中のトラブルを未然に防止しています。
【段取り替え時に起こる誤差のメカニズム】
段取りとは、製品の加工前準備を指し、ワークの設置、工具交換、プログラム呼び出しなどが含まれます。段取りの精度が低いと、加工中の位置ずれや形状誤差が発生します。特に多品種少量生産の現場では、頻繁な段取り替えが避けられず、その都度の再現性が品質安定の鍵となります。
段取り精度を左右する主な要因は以下の三点です。
1. ワーク基準の位置決め精度
2. 治具と工作機械テーブルの位置再現性
3. 工具交換後のオフセット誤差
これらのズレは、製品ごとに異なる基準面や座標系の取り扱いが原因で起こります。再現性を高めるためには、治具側に位置決めピンやダウエルを設け、段取り替え後も同一基準で固定できる設計が有効です。
【日野精機における治具と段取りの一貫管理】
日野精機では、治具設計から製作、段取り調整までをすべて自社内で完結させる体制を整えています。CAD/CAMによる三次元設計データを基に、治具製作用マシニングセンタで自社加工を実施。設計・製作・使用の全工程を社内で連携させることで、段取り精度と加工効率を高めています。
さらに、治具ごとに設計データと実際の加工実績を蓄積し、段取り履歴をデータベース化しています。これにより、同一部品や類似部品を再加工する際も、過去の設定値を迅速に再現できる仕組みを確立しています。特に重量物や複雑形状部品では、治具の精度と段取り再現性が品質安定の重要なカギを握ります。
【段取り時間短縮と生産効率の向上】
多品種・中ロット生産においては、段取り時間が生産性を大きく左右します。日野精機では、FMS(フレキシブル・マニュファクチャリング・システム)を構築し、複数の工作機械に同一データを共有。段取り変更時のプログラム再設定や工具交換を最小限に抑える仕組みを導入しています。
また、治具と製品データをリンクさせたCAD/CAM運用により、設計変更時の修正もスムーズに行えます。これにより、試作から量産への立ち上げ期間を短縮しながら、加工精度を維持することが可能です。こうした取り組みにより、段取り時間の削減だけでなく、工程全体のリードタイム短縮にも成功しています。
【恒温環境での加工・測定による精度保証】
治具設計や段取りを最適化しても、加工環境が温度変化の影響を受けていては、精度の再現性は確保できません。日野精機では、恒温環境下での加工と測定を一貫して実施しています。恒温室内に三次元測定機や形状測定機を設置し、加工時と同一条件で検査を行うことで、段取り替え後も安定した精度を保証します。
測定データはトレーサビリティ管理システムで一元化され、加工条件・治具構成・測定結果を紐づけて記録。これにより、治具や段取りに起因する誤差を定量的に把握し、継続的な改善に活かしています。
【まとめ】
図面通りの精度を実現するには、設備の性能だけでなく、治具設計・段取り・測定環境を一体的に管理することが不可欠です。日野精機では、CAD/CAMを活用した自社治具設計と段取り最適化、恒温環境下での加工・検査を組み合わせ、高精度・高効率な生産体制を確立しています。こうした取り組みにより、複雑形状部品や重量物の量産加工でも、寸法の再現性と安定した品質を実現しています。
【お問い合わせ先】
日野精機株式会社
本社工場:東京都日野市日野台1-17-3
新田工場:群馬県太田市新田下田中町836-1
TEL:042-582-1861
FAX:042-584-1655
URL:https://hinoseiki.co.jp
| 会社名 |
日野精機 株式会社 (ひのせいき) |
エミダス会員番号 | 102576 |
|---|---|---|---|
| 国 | 日本 | 住所 |
日本 東京都 日野市 |
| 電話番号 | 042-582-1862 | FAX番号 | 042-584-1655 |
| 資本金 | 5,300 万円 | 年間売上高 | |
| 社員数 | 126人 | 担当者 | 池田 智信 |
| 産業分類 | 重電関係 / 産業用機械 / 輸送機器 | ||
コンテンツについて
サービスについて
NCネットワークについて
