第1回 はじめに

本講義の目的

中小企業庁を所轄として、中小企業者に対し、国は様々な支援を実施しています。しかし、中小企業者の方々の中には、ご存じない方もいらっしゃると思います。本講座において、その支援内容を理解していただき、お役に立てればと考えております。

なお、本講座は「中小企業施策利用ガイドブック」に準拠して行われております。

中小企業支援の必要性

中小企業は、日本にある企業の99.7%を占めており、常時雇用者の69.4%が働く等、日本経済において中心的な働きを果たしています。

そのため、国としても中小企業庁を設置し、現在事業活動を行っている中小企業、これから事業を起こそうと思っている方々を様々な角度から支援する体制を整備しています。

中小企業者・小規模企業者の定義

では、中小企業庁が支援の対象としている企業はどのような企業でしょうか?中小企業者及び小規模企業者の定義として、中小企業庁は以下のように定めています。

なお、下記の定義は、中小企業政策における基本的な政策対象の範囲を定めた「原則」であり、法律や制度によって「中小企業」として取り扱われる範囲が異なることがあることにご留意下さい。例えば、法人税法上の中小企業系減税率適用範囲は、資本金1億円以下の企業です。

1. 中小企業者の定義

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他資本金3億円以下 又は 従業員300人以下
卸売業資本金1億円以下 又は 従業員100人以下
小売業資本金5000万円以下 又は 従業員50人以下
サービス業資本金5000万円以下 又は 従業員100人以下

*上記の業種分類は、第10回改訂版日本標準産業分類に基づきます。

なお、株式会社日本政策金融公庫法等の中小企業関連立法においては、政令によりゴム製品製造業は、「資本金3億円以下 又は 従業員900人以下」、旅館業は、「資本金5000万円以下 又は 従業員200人以下」、ソフトウェア業・情報処理サービス業は、「資本金3億円以下 又は 従業員300人以下」としており、中小企業基本法に比して対象範囲を拡大しています。

2. 小規模企業者の定義

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他従業員20人以下
商業・サービス業従業員5人以下

次回以降、上記の定義に基づいた中小企業支援に関する具体的施策を記載していきます。

執筆者紹介
大井 宏明(おおいひろあき)

株式会社ルーキー
代表取締役社長

公認会計士。慶應義塾大学経済学部卒業。1999年から監査法人トーマツにてベンチャー企業の株式公開支援業務、法定監査業務、その他各種コンサルティング業務に従事。2005年末に監査法人トーマツ退社後、2006年初から上場準備企業の取締役CFOに就任し、上場準備業務の統括責任者となる。2008年株式会社ルーキーを設立、代表取締役社長に就任。経営戦略立案や社内体制整備等の各種コンサルティング業務を実施している。
株式会社ルーキーホームページ:http://rookie-japan.com

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