顧客の期待を受けとめる「キャッチ」とは?

「 キャッチ 」 が単なる広告のことだけを指すのではなく、営業や商品そのもの を指していることは前述してきました。

この講座は、売上不振に悩む製造業、あるいは 業績が今は維持できていても次にどうなるかもわからない製造業 にとって必要不可欠な講座ですので、興味がない、必要ないというのは間違っています。
残念ながら、 そのような会社はこれからは難しい わけです。

さて本題です。
ここでは 「キャッチ」 について、詳細に説明していきます。

よく大手の教育系、コンサル系の会社などでは、「セールスとは顧客のニーズに商品のメリットを提示して説得することである」 と述べたりしますが、これは間違ってはいないのですが、やや短絡的です。

なぜなら、顧客には確かにニーズはあるのですが、そのニーズ自体は単に「ないから欲しい」 「あったほうが良い」 というレベルのものが多いからです。

あるいは、顧客自身、自分の 「真のニーズ」 とは何かを気づいていないケースも多くあります。

そんな 不確かなニーズ を取り上げて、やれ商品のメリットだPRだと攻めていっても、お客様には全然 ピンと来ない商談、あるいは うわべだけの感動のない商談 に終わってしまうことになります。

たとえばここで、3次元CADで金型設計のソフトを販売している会社 があったとします。
お客様は、金型製作の会社 であるとして、ここにこのソフトを売り込もうとしたら、どうすれば良いでしょうか?

多くの営業マンは、まず紹介や新規電話などで金型製作を行っている会社に売りこみをかけるでしょう。
その時には、当然パンフレットやノートパソコン等を持参して、できるだけ分かりやすいようにソフトの機能説明ができるための手段をもっていくでしょう。

ところがです。

こうしていく先々では、今一つ商談が思うように決まらない。
どこの会社も興味は持ってもらえるものの、ソフトそのものの料金やあとあとのサポート料なども含めると結構な額になる。
しかも、そのソフトを使えるようになるためには、一人選任の人間を勉強させて対処しないことには追いつかない。
そこまでするんだったら、別段今までのCAD製図ソフトでも特に問題はないし、こんなに景気の悪いときにわざわざ購入するほどのことではない…と。

どこにでもあるような 営業のロス ( 無駄 ) シーンです。
「ストレートに行っても売れないという結果がわかっただけでも良かった」などと言いながら納得している会社は、よほど余裕のある会社 か、 危機的状況 の会社です。

確実に 「 キャッチ 」 を成功させるためには、『 ターゲット ⇒ ニーズ ⇒ 期待 』  を分析することから始めなければなりません。
( 手当たり次第に飛びこんでみようとか考えないでください。そんなことで 売れる時代じゃないし、営業マンが消耗して、意識が減退するだけです )

金型用3次元CADソフトを購入する ターゲットは誰なのか? それを分析します。

ようするに、どうしても3次元でなければならない相手 を探し出すのです。

そうすると、いくつかの ターゲットイメージ が見えてきます。
一つは、金型についてあまり知識と経験をもっていない 若年層 で、2次元の図面を読むよりも、3次元の方が分かりやすく、それをもって製造業の顧客に説明に行く際にも説明しやすいという 営業や業務等の人間 が思いつきます。
また、実際に製図をする者でも、2次元での作図は自信がないが、3次元ソフトを使って効率的に作れば先輩たちと遜色がないと思えるであろう 技術の若手社員 も思い当たります。

でも、こうした人たちはお金を支払う決済権を持っていません。

ようするに最終的には経営者のニーズと期待 に応えないといけないわけです。

そこで、やはり商談は経営者と話をしなければなりません。
その時に 何を伝えるか ( キャッチ ) が問題です。

経営者のニーズ は、ここにきて会社の 経費削減 という問題が大半を占めています。

その中で、技術の伝承の難しさ と、職人層の給与の高さ は大きな課題であるわけです。

もし、このソフトが、こうした高給の職人層の仕事を、給与の安い若年層に移行させることができれば、それ自体で何よりも会社の 経費削減  の観点でニーズにかなう わけです。

1名の熟年層を抱えるよりも、2名の若年層の営業と技術をそれぞれ育てる方が、同じ経費でも大きな 期待 があります。
彼らは、これからの 顧客を生み出す可能性 があるからです。


すなわち、この観点で見たならば、金型用3次元CADの売り方 は、あくまでも 「会社の若返りと顧客開拓」 の視点で進めることが有効であると分かります。

ただ、それが分かったとしても、金型CADソフト販売の会社の中で、そうした観点で商談を進められる会社は少ないものです。

それであれば、 「キャッチ」  のあり方としては、例えば「人材戦略のコンサルティング企業」 あるいは 「コンサルティング能力を 有したSI(システムインテグレーション)の会社」等にその商品とメリットを伝えることで、こうした会社と連動しながら進める方が有効であるということもありえるわけです。

これまでの商社ルートや直販に比較して、もしかすると代理店販売でありながら、予想外の販売価格が設定できるかもしれません。

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