それじゃ「目指すもの」って、いったい何なんですか?

『 うちの会社が 「 目指しているもの 」 があいまいだとか言うんだったら、 「 目指すもの 」 っていったい何なんですか !? 』
とか、そういう風に言い寄られても困ります。

その会社の 「 目指すもの 」 を考えることは、その会社の方々の責任だと思います。
ただ、私のほうからは、こういうものではないかという一つの考え方をご提供することとします。

戦後、ずっと日本の中小製造業が成長してこられた理由は、すぐれた品質にありました。
自動車、半導体、精密機器にいたるあらゆる工業製品の領域で、メイドインジャパンが世界に評価されたのは、もちろん日本製品のクオリティの確かさだったのですが、当然、それは価格競争力をも有していました。
国としての貿易赤字を危惧するアメリカにおいても、一般消費者は、安くて長持ちし、しかも燃費の面でも乗り心地の面でも優れた日本車を買ってきたわけです。

ここには、日本製品が世界で売れる 仕組み がありました。
欧米の自動車と比較して、圧倒的に日本車が優位になる条件が揃っていた わけです。
ところが、肝心の日本の中小製造業は、それが 仕組みになっている という観点までは行き着いて考えていなかった。
ただ品質を追求することに徹してきたことの結果がそうさせたのです。

「 日本製品を世界市場でトップシェアにする 」 という 「 目指すもの 」 があったわけでもなく、ひたすら働き続けた結果がそうさせてきたこと。
それが、今に至って中小製造業の 「 目指すもの 」 という思考を抜けさせている要因ではないかと思います。

そして今、東南アジアをはじめとする諸外国は、「 日本製品を凌いで、自国製品を世界に推し進めよう 」 としています。
彼らが 「 目指すもの 」 は、日本の製造業者が今 「 目指している 」 ものよりも、はるかに強力であろうと予測がつきます。
『 日本(製品)を凌ぐ 』 …こうした思いは、我々の想像を越えるものでしょう。

では、それに比較して、日本の中小製造業の視点はどこにあるのでしょうか?

『 欧米企業を凌ぎ、世界で勝利する 』 …これを 「 目指すもの 」 とした中小製造業が、今日本にどれほど存在しているのでしょうか?

それどころか、追従してくる東南アジア諸国の企業に対しても、 『 放っておけば凌がれることを知りつつ、現実には何もできないでおろおろしている 』 のが現状ではないでしょうか?

東南アジアの中小企業の多くは、その経営者も従業員も、 『 日本製品を凌いで、世界で勝利する 』 という 「 目指すもの 」 に燃えていると思います。
どうして、日本の中小製造業は、そのような 「 目指すもの 」 を持つべきではないのでしょうか?

繰り返して申し訳ないのですが、①~④のいずれにも、日本の中小製造業が、主体的に世界に向けて何かを発信していこうとしていた時代がありません。

もちろん、その中には、あくまでも世界で勝ち残ること「 目指すもの 」 としてモノづくりに努めた中小製造業の方も多くおられました。

現在、得意とする専門分野で世界競争に挑み、世界トップレベルのシェアを持っている日本の上場企業には、この時代にあくまでも 世界を照準とした 「 目指すもの 」 を掲げ、そのための 仕組みづくり ( システム化 ) を進めていった会社が多く見受けられます。

「 世界を照準にするなんて…日本の中でも十分に太刀打ちできていないのに、そんな馬鹿げたこと言って何になるんだ! 」 と憤られる中小製造業経営者の方も多いと思います。

これも繰り返してしまいますが、それは私の提案ですので、そのまま受け取っていただく必要は何もありません。ただし、確実に言えることは以下の通りです。

ようするに、『 ○○○の製品( あるいは技術 ・ サービス等 )で世界シェア( あるいは売上、浸透度、知名度 )ナンバーワン企業になる 』 という 目標の設定は自由 であるし、逆にこれぐらいの 明確な目標設定 でないと、次の 課題点の抽出 システム化の流れ が非常にあいまいでカタチにしにくくなってしまうのです。

チェックポイント!

中小製造業が 「 目指すもの 」 は何であるべきですか?

品質ナンバーワンを目指す、顧客満足度を目指す、従業員の幸せを目指す、地域社会への貢献を目指す、等々、これまで掲げてきた数々のビジョンで良いのでしょうか?

日本の中小製造業だから、日本のことだけを考えていれば良いと言う時代ではなくなっています。
今は、どのような零細企業においても、世界を照準としたモノづくりを行っていくべきである と思います。

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