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「パイプマナブ」シリーズ
パイプ曲げや製造、ものづくりにおいての基礎知識を初歩から学んでいこうという記事になります。

今回はvol.59【塑性加工と加工硬化】です。
第一回目で学んだ塑性加工ですが、それに付随する知識について学んでみよう

◇関連記事
塑性加工とは？【パイプマナブ vol.1】
https://www.nc-net.or.jp/company/98857/product/detail/183070

▶▶▶塑性加工と加工硬化▶▶▶

【塑性加工の復習】
vol.1 からはかなり間が空いたので
今一度塑性加工について簡単に復習です
『塑性（そせい）』➡材料に力を加えて変形させ、力を取り去った後もその形が残る性質

物質の塑性を利用した加工。材料( 主に金属) に大きな力を加え、任意の形に変える加工のこと。
プレス機などで鉄板を曲げたり、鍛冶屋さんが刀を叩いて作るイメージがわかりやすいと思います。
プレス加工、曲げ、鍛造、転造などなどが塑性加工にあたります

メリット〇→ 素材の強度を向上が図れる / 大量生産に適している / 歩留まりが良い
デメリット×→ 設備のコストが大きい / 微細な加工には向いていない


【一次加工と二次加工】
塑性加工は製品の形を決定づけるものだけではなく、素材を加工しやすくする加工も含まれます。
一次加工と二次加工について見てみましょう。


■一次加工 ➡ 素材から加工材料をつくる
連続鋳造 で作った鋼片( ビレット、スラブ、ブルームなど) から
金属板、鋼管、丸鋼( 棒材)、ブロックなどの加工用の材料を作ります。

鍛造：
金属の塊を叩いて圧縮や成形をする加工。
ただ鍛造は加工材料だけでなく二次加工として製品自体も作ることができます。

圧延：
金属をロールで圧縮して伸ばす加工。
スラブなどを板状( または棒や管に) に伸ばす、数百ミリから数ミクロンまで可能。

引抜き：
金属を穴から引き抜いて伸ばす加工。
バー材やワイヤ材、パイプなどを製作する。セミシームレス管も引抜きをします。

押出し：
金属を金型の穴から押して出す加工。
金型の穴の形状で、線・丸棒・角棒などさまざまなタイプの材料を作れる。


■二次加工 ➡ 材料から製品/ 完成品をつくる
一次加工で作られた加工用の材料をもとに、様々な形に変形をさせて製品を作る。
圧延した板材を車のボディにしたり、引抜きしたパイプを駆動部の部品にしたりと、様々な加工が存在する

プレス：
プレス機と金型を使い大量生産する加工。
板材に金型を押し付けて成形する、せん断もプレス機で板材を切り出します。

曲げ：
鋼板、鋼管、丸鋼などを曲げる加工方法。
プレスによる板材などの曲げとベンダーなどによる管や棒の曲げなどがあります。

絞り：
金属板から容器などを作る加工方法。
パンチを押し込み、カップのような半球や箱形に成形。似た加工にへら絞りがある。

フォーミング：
せん断・プレス・曲げを連続成形する方法
プレス機械の一種でさまざまなユニットを連結したフォーミングマシンを使ったもの。


【加工硬化とは】
塑性加工には切っても切れない関係である加工硬化という現象。
一見「硬化」するという利点に思えますが、どうなのでしょうか？

塑性加工ではプレスや曲げをした部分が「硬くなる」という現象があります。
変形の度合いでもある「ひずみ」が増し、抵抗が大きくなり硬くなることを加工硬化と言います。
別名としてひずみ硬化とも呼ばれます。

ちなみに加工硬化しやすい材質はSUS、耐熱合金、高炭素鋼、合金鋼などです。
ステンレスの中でも特にSUS304 は加工硬化を起こしやすい性質を持っている。

◆再結晶→
何度も同じ個所を加工していると硬さと共にもろさが増してゆきます、最終的には割れたり
折れたりが発生します。
これを防ぐために「焼きなまし 」の実施が必要です。
硬化した金属を加工しやすい柔かさに戻すことができる、これを再結晶という。


CHECK☞
塑性と対を為す金属の性質として前回バネの項で学んだ「弾性」　があります
双方の特徴を覚えておこう。

まとめ：
塑性加工の種類は多岐に渡り、製造の初期段階から最終に近い段階まで関わります。
身近にあえうものは塑性加工で出来ているかもしれませんね。



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