「パイプマナブ」シリーズ
パイプ曲げや製造、ものづくりにおいての基礎知識を初歩から学んでいこうという記事になります。

今回は【ステンレス材の種類】です。
SKTM とならび弊社で使われるのがステンレス鋼、その中でもいろんな種類がありますね。
前回記事はSTKMについて→ https://www.nc-net.or.jp/company/98857/product/detail/186486


【ステンレスとは】
stainless steel＝ステンレス鋼、stain= 錆び。それがLess（無い、少ない）
ということで錆びない鋼材＝ステンレス。昔は不銹鋼（ふしゅうこう）と呼ばれていた。

耐食性に優れ、金属光沢を持っており建材や機械の部材、食器などに至るまで、
さまざまな場面でよく使用されている金属です。
一般的には『鉄（Fe) を主成分（50％以上）に、クロム（Cr）を10.5％以上含む合金』


【ステンレスの種類】
化合物の量でオーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、二相系などに分けられます。
保温性が強い、耐食性に強いなど特徴もそれぞれあります。
色々と多岐に渡っているので、一部を紹介いたします。

≪オーステナイト系ステンレス≫
カーボン0.15% 以下、クロム16% ～20%、ニッケル8% 以上からなる鋼種。磁性はなく加工硬化性が高い。
溶液化処理で1000℃から1150℃に加熱急冷を行うと強靭になり耐食性が向上する点が特徴です。
耐食性に優れ、家電・建築外装からガスタンク・原子力計設備などさまざまな用途で使用される。

■SUS304 → 最も一般的なSUS でボルトやナット、ワッシャーなどに使用されます。
※保温タンブラーもSUSですが保温性の良い304が良く使われているようです。
■SUS316 → SUS304 より耐食性が高く、海などの環境にも適している。

■SUS347 → ニオブを添加し高温環境下における耐食性が向上した、安定化ステンレス鋼と呼ばれるもの
オーステナイト系ではSUS304 と比べると強度に優れ、加工性には劣るが、溶接はしやすい。またステンレスの問題
である粒界腐食が発生しにくい。航空機の排気筒などの腐食条件の厳しい場所で使用されます。


※加工硬化とは：金属に力を加えて塑性変形（パイプマナブvol.01 参照）させたとき、金属が硬くなる現象のこと。
塑性加工についての記事→ https://www.nc-net.or.jp/company/98857/product/detail/183070


≪フェライト系ステンレス≫
カーボン0.12% 以下、クロム16% ～ 18%、ニッケル8% 以上からなる鋼種。加工硬化性が高い反面、
加熱急冷を行っても硬度に変化はありません。オーステナイト系に比べて耐食性に若干劣るため、
家庭用品や建築内装など、腐食の条件が過酷でない環境での使われることが多い。

■SUS430 → 建築内層、家電、放熱器などに使用される。


≪マルテンサイト系ステンレス≫
カーボン0.1% ～ 0.40%、クロム12% ～ 18% を含む鋼種です。大気中や、水や蒸気の当たる環境下では
十分な耐食性を発揮するが表面に鉄粉が付着している場合は、もらいさびが発生するので清掃しなければならない
焼入れによって硬度が向上するので、刃物やシャフトなどので使用されることが多い。

■SUS410 → 耐食性に劣るが硬度強化( 焼入れ) が可。ドリルネジ、タッピンネジなどに使用。


≪二相系ステンレス≫
二相系ステンレスと呼ばれる、オーステナイト系とフェライト系が混在した鋼種。
性質はオーステナイト系とフェライト系の中間にあたり。海水環境に強く、応力腐食割れへの耐性も高いため、
海水環境での復水器、熱交換器、化学プラント用装置などに使用できます。

■JFE443CT → SUS304 の代替として用いる。耐食性・硬度も◎ ※ニッケルやモリブデンを添加しないため、これらの高騰の影響を受けない。


チェック：
ステンレス自体は錆びにくい素材ではありますが、種類によって耐食性には差があります。海上で使用されるものはより耐食性が高いものを使うことになります。



まとめ：
弊社がよく使っているのはSUS304です、自動車の部品などに良く使用される。種類は違えど多用な環境で使われるのがステンレス鋼です。


平成工業では鉄だけでなくステンレスやアルミ、銅などのパイプの曲げにも対応しております。
気になる素材での曲げ加工がありましたら一度お問い合わせください！